ツタバナのホームページにある「みんなでいっぱい恥をかこうぜ!」
という言葉が大好きです。
「恥をかく」とは「他人の前で失敗したりして恥ずかしい思いをする」ことですから、できれば避けたい。
でも恥をかかないと学べない体験がたくさんあります。
古い話ですが、日本テレビとラジオの文化放送が共同で制作した、歌の上手なお相撲さんを集めて武道館で収録したお正月テレビ特番「大相撲歌の祭典」という番組でのことでした。
日本テレビ側司会者は、すでにしてアナウンサー界のレジェンドだった徳光和夫アナウンサー、一方文化放送からは、なぜか新人に毛の生えた若き日の私が司会として日本武道館の舞台に登場しました。
余裕の徳光さんと、どのカメラを見たら良いのか見当もつかないラジオ局の駆け出しが、声を揃えてオープニングの第一声を割台詞で発すると言う段取りです。
徳光さんが「大相撲〜!」と声高らかに歌い上げた後を梶原が「歌の饗宴!」と叫ぶだけのことだったのですが、緊張して頭真っ白、口から出たのは「夢の球宴!⚾」でした。
「ああ、言えた・・・」とホッとしたのも束の間、武道館の客席最前列で指示を出すディレクターから「夢じゃない!歌です!!歌!!!」と強いダメ出しが入りました。血の気が引く想いでしたが、徳光さんは大笑い、収録に付き合ってくださった観客の皆さんは「若い人、失敗してかわいそう・・」と同情のまなざしです。
徳光「梶さん、収録だから全然大丈夫、特に、頭の失敗は編集が楽だしね、じゃあもう2〜3発行ってみようか(笑)」
アクシデントのおかげでその先はリラックスして「それなりの役割」を演じることができたように記憶しています。
この手の、恥かき体験を山のように重ね「面の皮の厚い一人前のアナウンサー」になれたのかも知れません。
ツタバナに集う皆さま、さあご一緒に「みんなでいっぱい恥をかこうぜ!」

元文化放送アナウンサー。49歳で東京成徳大学大学院心理学研究科に進学し心理学修士号を取得。精神科クリニックに勤務し、シニア産業カウンセラーとしても活動。英語・北京語も堪能。アナウンサーとカウンセラー両方の経験を元に梶原メソッドを考案。オンライン話し方教室「ツタバナ」を始め、自ら塾長を務める。