10年ほど前の話。
私が所属していた神楽坂のカウンセリングルームにやってきた女性です。
短大を出て一人暮らし歴13年の総務系のOLです。
なかなか良いご縁が無く、二ヶ月前、月2万円のお見合いサービスの会員となって婚活を行っていましたがなかなか「これ!」という人とめぐり会えません。
どちらかというと人見知りな感じ。
友人には「そこそこ美人なんだから強気で行けば」などとアドバイスを受けるのだそうです。
「お見合い」の機会は何度かあったのですが、何をどんな風に話せば良いのか、いつも考えているうちに話題が変わったりして話が噛み合わなくなうこともしばしばなのだそうです。
「どうしたら良いのでしょうか?」
彼女へのカウンセラー梶原の助言は以下のようでした。
「何か面白いことを話そうと頑張るのは男性の役割と考え、A子さんは彼の話を面白そうに聴く役割に徹したらどうですか?」
人は男女に限らず、自分の話に興味を持って、聴いて、受け止めてもらうのが何よりの喜びです。
カウンセリング用語では「聴いて共感してもらえた実感」を「報酬を得た」と表現します。
女性が、男性の話の合間に上手にあいづちを入れながら、「へえ、そうなんですか?」とか!「それからどうなったんですか?」や「わあ、意外ですねえ」「私も見てみたかった」など共感の一言を交えて返事を返すと、話はいやが上にも盛り上がります。
男性は得意満面で、気分良く話を続けてくれる可能性が高まります。
実は男性も、彼女と会った瞬間はそうとう緊張していたはずです。
「自分の話なんか興味を持って聴いてもらえるだろうか」
それが、自分の話に笑顔でうなずきながら、大きく相づちを打って、時に笑い、時に、えー?!スゴい!と感心されたら天にも昇る想いです。
私の彼女への助言は「聴くが8割、話すは2割」
是非話す相手に「聴いてあげる=報酬」を存分に与えてくださいね。
その後の来談が無かったことを「よい知らせ」と受け止めた私でした。
ツタバナの講師たちは、カウンセラーではありませんがカウンセリングマインド(=話を聞いて共感する精神)をもって講義を担当します。
話のテクニックだけでは無い「心の持ちよう」も大切にした「ツタバナレッスン」をお楽しみに!

元文化放送アナウンサー。49歳で東京成徳大学大学院心理学研究科に進学し心理学修士号を取得。精神科クリニックに勤務し、シニア産業カウンセラーとしても活動。英語・北京語も堪能。アナウンサーとカウンセラー両方の経験を元に梶原メソッドを考案。オンライン話し方教室「ツタバナ」を始め、自ら塾長を務める。