自分の家族を他人に向けて「ほめる」ことには鼻白む人が少なくない。
飼い犬の能力を「ほめる」事も避けた方がいいのだろうが、どうしてもほめたくなった。
ちゃんとしたしつけができていないからだと、叱られるかも知れないが、散歩のコースは、私の散歩のパートナー、3歳で黒のトイプードル、“ レオ ” が決める。
いつの間にか、定番コースが7パターン。
どれも “ ルル” 任せで自然に出来上がったバリエーション。
家を出た途端、迷うことなく定番コースを進もうとする。
午前、午後、前日、前々日とも被ることなく、自分で決めた通りの「別の道」を行く。
賢いのか融通か聞かないのか・・・
途中で意地悪してリードを別方向に向け引っ張ると、最初は、飼い主の言うとおりの道を進む振りをして、ちょと気を許すと、私が気が付かないほどちょっとした角を曲がったり、コースを微妙にずらしながら、結局、彼が頭に描いた行きたい道に戻っていたりする。
したたかだ。
「散歩ぐらい好きなようにさせてもらいますからね!」という強い意思さえ感じさせる「迫力」もある。
ちっちゃいくせに。
この犬が、一度だけ、定番コースを大きく外れて見当違いな道を目指したことがある。
「どうしたのレオ、そっちじゃないでしょ?」強くけん制してもそちらにグイグイ引っ張るから、緑道の交差する木の下まで付き合ってみると、そこにはフライドチキンの足が1本、転がっていた。
「ダメ!」
いきなり食らいついてお腹でも壊されたら大変だからこっちも必死だが、レオも必死だ。
最終的に私がそれを拾って遠くの茂みの中に放り投げたら切なそうに「キュン」と泣いた。
あれから半年は経っていて、チキンの気配はもちろん臭いも残っていないはずだが、近くを通るコースの時は必ずそこに立ち寄って鼻をクンクンさせる。
チキンぐらい食わせてやれば良かったかなあ・・・
その後何もなかったように気を取り直し、正規のルートに戻って、淡々と散歩を続け、ほぼ40分のフルコース散歩を自ら終える。
犬の知能は「鯨」や「ゴリラ」や「アフリカ象」や「カラス」より低いとされているようだが、レオのコース取りを見ていると、もう少し上げてやっても良さそうな気がする。
ああ、好きなものを書くと無駄にダラダラ長くなって・・・
恐縮でした

元文化放送アナウンサー。49歳で東京成徳大学大学院心理学研究科に進学し心理学修士号を取得。精神科クリニックに勤務し、シニア産業カウンセラーとしても活動。英語・北京語も堪能。アナウンサーとカウンセラー両方の経験を元に梶原メソッドを考案。オンライン話し方教室「ツタバナ」を始め、自ら塾長を務める。