コロナ禍で、声の不調をうったえる人が増えているそうです。
ウイルスのせいではありません。
「声を出す機会の減少」が原因です。
私の喉の調子もイマイチです。
そりゃあそうです。
かつては何はともあれ家を出て、仕事先から、友人がとぐろを巻いている酒場に至るまで、1日の多くを、どうでも良いことについて声高にしゃべり立てていたものです。
ところが、いまやすっかりお行儀が良くなって、在宅率が極度に高まり、1日を振り返れば、話した相手は愛する妻と飼い犬のレオくんだけ、なんてことも少なくありません。
こんなことでは「声枯れ」を起こしても仕方がありません。
打ち合わせで熱弁を振るうとか、雑踏の中、大声で会話する、居酒屋でくだを巻くなんて機会が一気に無くなりましたからねえ。
マスクで口を覆った人たちも無駄話などせず、街中を足早に通り過ぎてゆきます。
もちろんこれが、コロナ禍では正しい作法、あるべき姿ではあります。
とはいえ「喉」「声」という点に関してはあまり良い状況ではありません。
声は、出さないとすぐに衰えるものです。
風邪を引いて1日寝込んだ翌日に、声が出にくいのは風邪のせいというより、喉に適切な負荷をかけて声を発しなかったから、というケースが多いものです。
テレワーク空け、出社した朝、最寄り駅で降りた、上司と目が合った瞬間の「おはようございます」の声が、かすれて出にくかった、という体験をお持ちの方もいらっしゃることでしょう。(いないかも知れませんが・・・)
「声の細り」に危機感を抱いた私は、ヒマさえあれば、新人アナウンサー時代に暗記させられた「外郎売り」を朗々とうたいあげるようにしています。
散歩の友、レオくんも最初は変な顔して振り向いていましたが、今では私の「外郎売りの口上」にウットリした表情さえ浮かべています(??)。
何はともあれ、声出しの機会を増やし、喉の、心地よいコンディションをキープしましょうね。

元文化放送アナウンサー。49歳で東京成徳大学大学院心理学研究科に進学し心理学修士号を取得。精神科クリニックに勤務し、シニア産業カウンセラーとしても活動。英語・北京語も堪能。アナウンサーとカウンセラー両方の経験を元に梶原メソッドを考案。オンライン話し方教室「ツタバナ」を始め、自ら塾長を務める。