「参考になります」
梶原しげるです。
新型コロナウイルスの、1日辺りの感染者数が一時に比べれば減って来てはいますが、まだまだイベント自粛体制の見直しが進んでいるというところまで進んでいません。
コロナ以前は、勉学の秋ともなると、社員教育の一環としての、著名人を招いての講演会があちこちで行われたものです。
講演終了後、司会者が登場し「せっかくの貴重な機会ですから、先生に質問のある人は、さあ、手を上げて!!」
わが日本国民の謙虚さ、奥ゆかしさからかは知りませんが、こういう場面で、スッと手を上げる若者は、まずいません。
シーンとなり、講師も気まずそうにしている様子を察した司会者が、いきなり前列の目立ったところに座る新米社員を「はい、君!」と、無理やり指名してマイクを向け「君は、先生の今のお話どう感じたのかな」
司会者の問いへの若者の答えは
「まあ、参考になりました・・」
でした。
講演者はたぶんガックリです。
「・・ただの参考かよ・・・」
慌てた司会者が別の、今度は少しだけ賢そうな女子にマイクを向けました。
「お話大変、お上手でした」
なぜかいきなり上から目線なコメントに講演者は怒りを堪えるのに苦労したことでしょう。
「上手でした」と「目下」に言われて「喜ぶ目上は」など基本的に存在しません。
目下が目上を評価することはあってはならないというのが「日本語」の決まり、大原則です。
講演をした先生は怒る以前に驚愕したことでしょう。
「先生」の、心の叫び(「お前らひよっこに、上手の、下手だの言われて堪るか!!」)
常識知らずの若者たちに司会者もいらだちを募らせマイクを突き出されたのが、ボーッとした男子でした。
司会者:「ほら、君だ、君、先生に感謝の言葉を述べなさい!」
するとボーッとした男子はこう答えました。
「えーっとお・・うんと・・・頑張ってください・・」
先生の顔から血の気が引いて凍り付いたママの場面が数秒ありました。
「先生」の、心の叫び「・・私じゃなくて、お前が頑張れだろうが!!(怒!)」
こんな風に、意図せぬうちに酷く失礼な言葉を発してしまう人、あなたの周りにいませんか?

元文化放送アナウンサー。49歳で東京成徳大学大学院心理学研究科に進学し心理学修士号を取得。精神科クリニックに勤務し、シニア産業カウンセラーとしても活動。英語・北京語も堪能。アナウンサーとカウンセラー両方の経験を元に梶原メソッドを考案。オンライン話し方教室「ツタバナ」を始め、自ら塾長を務める。