まだ20代の「うら若き頃」打ち合わせの時にこう言われ「弱ったなあ」と思ったものです。
当時の私の胃は、喫茶店で出されるコーヒーと酷く相性が悪く、口からコーヒーを流し込むと、にわかに胃がシクシクし始めたからです。
特に空腹には最悪です。
痛みばかりか、吐き気さえ襲ってくるというのですから。
とは言え、若輩者が「いや、私はロイヤルミルクティーを」「レモンスカッシュを」と一人だけ面倒くさいものを注文するのもはばかられ「珈琲で良いよね」には「はい!」以外の選択肢はありませんでした。
コーヒーカップには口を付ける格好だけして、中身を呑むことはなく、ひたすら水を飲んでいました。
珈琲が飲めるようになったのは40台を超える頃からでした。
面の皮が厚くなるにつれ、胃壁も分厚く頑丈になったのでしょう。
今では自室にインスタント珈琲の大瓶と湯沸かし器と持ち込み、ため息をつくのと同じぐらいの頻度で珈琲を飲むほどです。
インスタントが胃に優しいのか?
胃が丈夫になったのか、どちらか知りませんが、原稿に行き詰まったときの珈琲は、たばこを吸わない私にとって、実にありがたい間合いを作ってくれます。
年齢で、体の部品の耐性や嗜好も変わるものなんですね。

元文化放送アナウンサー。49歳で東京成徳大学大学院心理学研究科に進学し心理学修士号を取得。精神科クリニックに勤務し、シニア産業カウンセラーとしても活動。英語・北京語も堪能。アナウンサーとカウンセラー両方の経験を元に梶原メソッドを考案。オンライン話し方教室「ツタバナ」を始め、自ら塾長を務める。