梶原しげるです。
20代後半、キリッとした聡明そうな顔立ち、豊かな黒髪。
欧米人に英語でインタビューした内容を、日本人職員には日本語で伝える、語学力を活かした仕事に従事しているといいます。
元々日本語ネイティブですから、彼女の日本語完璧ですが、その完璧さが「気に入らない」と、訳のわからないことを言う日本人スタッフに言われることがあるのだと聞き驚きました。
「君の日本語は、きつすぎる、もっとあったかい言い方はできないのか?」
「英語みたいな、無味乾燥な言い方は、日本語には馴染まないんだよ!」
「上司に対する口の聞き方としては、生意気に聞こえるんだよなあ」
「上から目線なものの言い方に聞こえて、愉快じゃないんだよ・・」
聡明な顔立ちで、英語と同じように、テキパキと滑舌のいいスピード感のある日本語の、どこが癇に障るのか知りませんが、どうやら、何もかにも完璧な帰国子女の振る舞いが「鼻につく」と言うことのようです。
なんとも理不尽ですが、一部の日本人男性の中には「女性は、多少、おっちょこちょいぐらいがかわいらしい」「女は愛嬌、男は度胸、愛嬌のない女性、愛想のない女性とは居心地が悪い」と、面と向かって言われたのだそうです。
今時、そんなアホ男が存在するのは信じられませんが、実際に存在し、女性は、今の職場環境に苦しんでいるというのです。
「そこで働く日本人の男たちの意識が変わるべきだ」と、わたしごときが遠くから叫んでもなんに変化も起こりません。
わたしは彼女に聞いてみました。
『日本人と話すときは、ほんの少し口角を上げて、ほんのわずかでも笑顔を作ったり、時々眉を寄せて困った顔をして、心細い表情を見せたりと、多様な非言語表現を交えることで「わたしはロボットではなく人間なんだ」という、当たり前のことをアピールするって方法も、なくはない気がしますが・・・・』
「そういう姑息なのは、断固嫌です!」
そう言われるのを覚悟していたのですが意外にも彼女は言いました。
「日本社会では、そういうことが必要かもしれませんね・・・」
深いため息は、いい加減な助言をしたわたしへのものなのか、はたまた、日本の現状に対してのものなのか・・
この国には、異文化との葛藤の種がつきません・・・

元文化放送アナウンサー。49歳で東京成徳大学大学院心理学研究科に進学し心理学修士号を取得。精神科クリニックに勤務し、シニア産業カウンセラーとしても活動。英語・北京語も堪能。アナウンサーとカウンセラー両方の経験を元に梶原メソッドを考案。オンライン話し方教室「ツタバナ」を始め、自ら塾長を務める。