梶原しげるです。
国語辞典の最初に出てくる言葉は何だと思いますか?
そのとおり!「あ」ですね。
(1)広辞苑には、「驚きや感動を表して発する声」と説明し、「あ、あぶない」「あ、ホームランだ」などの用例を載せています。
一方でこんな解説も。
「母音のひとつ。口を広く開き、舌を低く下げ、その先端を下歯の歯ぐきに触れる程度の位置に置き、声帯を振動させて発する・・・」
「あ」一音にもいろいろな意味があるというわけです。
(2)今年早々に発売された「三省堂国語辞典第八版」も、最初に出てくる言葉は「あ」です。
「あ」たりまえですが・・・
こちらも、語釈にはけっこうなスペースを使っています。
「あ」→感動詞
1:急に思いついたり気づいたりしたときに出す声。
「あ、そうだ、忘れてた!」
「あ、こわれちゃった」
「あ、ちょっといいですか」
2:軽く驚いたり、感動したりしたときに出す声。
「あ、久しぶり」
「あ、これおいしい」
3:相手の言ったことに対して、軽くあいづち打つときに出す声。
「あ、そうですか」
「あ、わかりました」
(3)少々くどくなりますが、明鏡国語辞典最新版の最初は「あ」(感動詞)で始まっています。
1:「驚いたり感動したり急に思い出したりした時などに発する語」
「あ、そうか」
「あ、財布を忘れてきた」
「あ、いいとも」
(4)一方で、現代新国語辞典第六版は平仮名「あ」ではなく漢字の「亜」から始まっています。
「亜」は「あるものの次に位置する・第二の」という意味で「亜熱帯」(熱帯の次の暑苦しさ?)なんて時に使われます。
例文としては「彼は亜流だよ(本流じゃないよ)」が上げられています。
とはいえ「亜」の直後には「あ」(何かに驚いたり、気づいたり、深く感じ入ったり・・など)感動詞、との説明が成されています。
辞書の始まりの言葉とはすなわち「あ」と答えれば「正解」といえます。
そりゃあそうだよね・・・
では辞書の終わりに出てくる言葉は何でしょう?
はい、そのとおり、「ん」でした!
広辞苑は「ん」
三省堂国語辞典は「ん」「んーん」(感動詞)
ひどく言葉につまったときや感心したときなどの声「んーん、んんん」
幼児語で、否定の気持ちを表す「んーん、違うよおー、んーん、んーん」」
明鏡国語辞典は格助詞の「ん」
僕のうち→「ぼくんち」の「ん」
現代新国語辞典も「ん」
打ち消しの助動詞「ない」→「ぬ」
例:「言わんこっちゃない」の「言わん」の「ん」
早い話が国語辞典のほぼ全てが「あ」で始まり「ん」でおわる事を確認できた、って、これまた、あたりまえな結論で失礼しました・・・
(時間泥棒より)

元文化放送アナウンサー。49歳で東京成徳大学大学院心理学研究科に進学し心理学修士号を取得。精神科クリニックに勤務し、シニア産業カウンセラーとしても活動。英語・北京語も堪能。アナウンサーとカウンセラー両方の経験を元に梶原メソッドを考案。オンライン話し方教室「ツタバナ」を始め、自ら塾長を務める。